きっかけがある,だけ。

ある経済関係の記事を読んできたときのことです。
有名な投資家のウォーレン・バフェットが述べたという言葉に出会いました。

それは「合理的であるためには世界の状況と一致しなければならない。そうでなければ知的であっても合理的でない。」です。そこから調べていないので、これが本当に本人の言葉かどうかはわかりません。それでも納得できる内容です。

なるほど。
「知的であっても合理的ではない」とはよく言ったもので,どんな確信的・理知的な論理を駆使したところで,合理性に乏しければ世界の状況,つまり世の中の人の共感や動きなどと一体とはなれず,それはファンタジーの世界であるということを言っているのだと,私は感じました。

可能性があることと,実現できることは必ずしも同じではありません。
実現に向けて数々の過程を練り,ひとつずつ解決しながら前に進むことで可能性は実現に向かうのですから。

○○は世の中を変える!

という謳い文句を時々見かけます。
ここには何でも当てはまります。私は美術教育に関わってきましたから,そこに美術を入れて語っている人をよく見かけます。
別に,お金でもスマホでもゾウリムシでも構いません。

でも本当は,その○○とは世の中を見つめる(変える)きっかけ(可能性)を与えてくれているだけに過ぎず,それを駆使して世の中を変えるのは用いるその人自身の行為や行動ですし,達成に向かう知力・体力・胆力も必要です。

つまり、○○が何であっても、想いを馳せたり操作したりする「人」がいなくては、○○はその有効性を示せないのです。

これを忘れて「○○は○○である」と単純な構図で一般化すれば,その「コト」を深く見つめたとは言えませんよね。単にひとくくりにして安心したいだけに思えてしまいます。

「あなた」は世の中を変える!
これはかなり怪しいにおいがしますし、現に難しいですよね。

でも「あなたらしさのかたちづくり」を行う過程で,あなたを中心とした生活圏内に何かしらの気づきやきっかけの提供者になるかも知れない可能性はあるでしょう。

そしてそこから感じ取った人たちが,またそれぞれの行為行動を起こしていく。
何かしらの仕組みに基づいた出来事を創出して、その機能を活用していく。なにより、それはあなたがあなたらしいかたちを求め続ける中で行うコトですからね。

その可能性がどんなに小さくても、きっかけを生かすのはあなたです。
なにしろ,答えは常にあなたの中にあるのですから。

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多元と多義と多様と

多元性・多義性・多様性という言葉をお聞きになったことはありますか?

対象となるコト(ここでは存在など)を深く見つめると、必ずこの3つの性質にも出会います。
ことづくりでも多様性という表現をよく用いています。

まずは簡単に見てみましょう。

・多元とは、「塊」を構成する元が複数ある状態です。
【plurality】プルラリティ
(※ 英語では多数とか兼務という意味もあるそうです)

・多義とは、ひとつの対象が多くの意味をもつ状態です。
【Ambiguity】アンビギュイティ
(※ 英語では曖昧とか不確定という意味もあるそうです)

・多様とは、性質や特徴の違いが群れている状態です。
【diversity】ダイバーシティ
(※ 英語では雑多とか相違という意味もあるそうです)

それでは、例として「お金」をコトの視点で見てみましょう。お金は人やモノ、流通などの場に不可欠な存在です。
資本主義を構成する仕組みとして価値を共通化させる役割があり、流通や交換、管理や蓄積などの機能をもちます。これは多元的です。

次に「お金の使い方」と言われてあなたは何をイメージするでしょう。
使い方に対する意味や価値を考えていくと、先ほどの機能が世の中の出来事を演出する潤滑剤や、様々な人々の生きがいにつながります。これは多義的です。

そして、お金は発行体のこだわりが最も現れます。硬貨やお札、金額の大小や図柄や伝統的な模様、国によって発行される種類や名称や値もさまざまですよね。これは多様的です。

おおよそ「人」について語った文章ならこんな感じでしょうか。

「人」は様々な有機体が構成しあい機能を生み出して一個の存在をかたちづくっています(多元)。人が地球上に存在する理由は様々です。進化過程の結露とか、種の繁殖と地球破壊が同時進行する存在とも言えます(多義)。そのひとりひとりを見つめると、個や種族としての括りにおいて様々な変化に対応できる性質をもっています(多様)。

こうして分けるから「へぇー」って思いますが、分けなくてもあんまり違和感はないですし,そもそも分ける必要あるの,なんて感じもしますよね。普段はいちいち意識しませんから。

ということは、みなさん意識しないだけで、ちゃんとこの3要素に触れているのです。

これらも全て「こと」です。
なにしろ、人が行う思考自体がコトですから。

どんなコト(要素)であってもそれらが未分化な状態は、境目なくるつぼで溶けあった状態ですから、全てがごちゃっとして、分析項目が少なくて、そのうち自分が何を考えているのか,どうすればいいのか,混乱しがちです。

そうならないためにも、俯瞰の姿勢を忘れないでください。
俯瞰するためには、分析項目を明確に自覚するための糸口を見つめることも大切なのです。

たまにはこうやって言葉の意味を探る姿勢を楽しみたいですね。

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「あいだ」を意識する

以前も「あいだ」についてはいろんな場面で話してきました。
※例:場は解釈でつくられる」

この,「あいだ」について研究している方も結構いらっしゃるようです。
私がこの仕事を始めてから一念発起して大学院に進み,そこでの修士論文を「ことづくり」で書くために参考にしてきたのは,木村敏(精神病理学者),浜田寿美男(心理学者),梶田叡一(教育学者)などの方々でした。そして手探りで研究しながら,その内容の共通項を探っていく内に現象学に出会ったのです。

ずっと以前から,二項対立に陥らないようにすることへの重要性は分かっていたのですが,ではどうしたら良いかという問いに対する答えがなかなか見つかりませんでした。

実際に,私は教員生活を送る中でディベートを授業でやらせることもありました。そのときは理解できていませんでしたが,自分の中に腑に落ちないことがあって,何か違和感を感じながらでも,議論させることで生徒の論理的思考を養うんだと自分に言い聞かせてやらせていました。

それはマイケル・サンデルの白熱教室という番組を見て,なお一層その想いを強くしたのを覚えています。

私は基本的に「あまのじゃく」なので,Aと言われるとB,AかBかと言われるとCと答えたいタイプの性格です。それを「あまのじゃく」という言葉でくくってしまい,あまり良くないのだろうなと感じてもいました。

三項関係という言葉も,以前から知ってはいました。
3つにすることで,対立意識をかわすこともすりあわせをすることもできるんだと,なんとなくの認識でした。

そんなとき,「あいだ」という概念を聞き,なるほど!と思ったのです。

二項でも三項であっても,その対象となる考え方をぶつけ合ったりすり合わせたりして関係させ合う場は必要です。その「場」をあいだと呼べば,すんなり納得できたのです。

そしてことづくりの考え方に「あいだ」を取り込みました。

この「あいだ」を考える方法は,至って簡単です。
例えば,表と裏という関係があります。
まぁ,ここでは難しく考えずに「表」と「裏」にあいだにあることを考えてみるのです。

「善」と「悪」もそうです。
世の中で対立軸にあると考えられる二つを並べて,そのあいだを探るという方法です。

共通することがあるとすれば一体何だろう,と。
これが,共通了解を探るひとつの手法ではないでしょうか。

特に対立軸になくても「あなた」と「わたし」でも構いません。「男」と「女」でも,「車」と「徒歩」でも,二項対立的な議論で持ち出していた内容でも充分ですが,明らかに対立軸にある項目のほうが,「やったぞ感」は出ます。

さて,あなたが考えるこれらの「あいだ」には何が見えますか。

その意見交換することも,また楽しいのではないかと思います。

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三角地 ほぼ完成です!

昨年から動いていた,新しい敷地を取得して,見た目になごむような空間を備えた駐車場をつくる「三角地プロジェクト」がほぼ完成しました。

友人の庭師さんの全面的な協力で,というかほぼ庭師さんお一人の力なのですが,私たちはアイデアを出し合って,それを実際の「かたち」に仕上げて頂きました。

大きなテーマとしては,自然の一部を切り取ってきたかのような自然さを感じられる柔らかで優しいながらもしっかりと存在感を示す想いが込められています。

そして先週末には,高知県の友人による犬のブロンズ像(まだ作品名も未定の銅像です)も設置終了しました。

駐車場の横の庭で遊んでいるような,守ってくれているような,自然の中で私たちを待ってくれているかのような,いろんなとらえ方の出来る雰囲気に仕上がって,とても嬉しいです。

ここは現在建設中の「ことラボ」と「ともにスタイル館」を利用する方の専用駐車場です。

その施設もまもなくです。どうぞお楽しみに!

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11月の畑の様子

台風がやってきて以来、畑がじめっとしたままです。

いつもであれば、結構雑草が茂ってくるのですが、湿度が高いのと気温が下がってきたのとで雑草も勢いがありません。
野菜たちも少し元気がないように感じるのですが、そこは少しずつでも成長しているようです。

今日はしばらくお休みしていた間引きを行いました。
ついでに周囲の雑草もとり除きました。

数日雨が降っていないのですが、こんな感じです。

 

新農地ではタマネギとニンニクを植えました。
いよいよ来年の喫茶店オープンに向けた畑作りが始まります。

まずは土づくり。
そのあたりのお話はいずれまた。

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29thまなびあい勉強会

これまでにもHP上でご案内しておりました
11月18日(土)のまなびあい勉強会についてのお知らせです。

多くの著書があり,若手哲学者としてもご活躍中の
苫野一徳先生をお迎えして,13時過ぎから行います。
私の提案する「ことづくり生活」の原点となった現象学がご専門です。

哲学というと難しいと感じる方も多いでしょうが
「世界のとらえ方」が根っこにありますので
「世界の」を自分の考えたいことに取り替えれば
いろんな生活にも役立つ考え方だと分かって頂けるのではないでしょうか。

今の社会で多く見られるようになった,
イエスかノーかとか,賛成か反対か,のような二項対立的な考え方ではなく,
もっとみんなですりあわせの出来る社会をつくること。
それをわかりやすく解説頂き,そしてみんなで考えてみましょう。

参加募集数には限りがありますが,まだ余裕です。
みなさんの参加表明をお待ちしております。

なお,会場が変更になる可能性があります。
その際は改めてご連絡いたします。

あと,苫野先生からのご提案ですが,
はじめての哲学的思考」を読んで参加して頂けると嬉しいとのことでした。

どうぞよろしくお願いします。

第29回 まなびあい勉強会
日時:2017年11月18日(土)13:00〜17:00
会場:十川東町 新施設「ともにスタイル館」
東植田事業所(高松市東植田町679番地3)
講師:熊本大学教育学部 苫野一徳先生
内容:あなたのかたちづくりに活かす「はじめての哲学的思考」
会費:1500円(参加費:懇親会費別途)
ゆかいスタイル会員,勉強会協力員は1000円

※協力員とは活動への寄付金3000(年額)を納めた方です。
協力員は随時募集させて頂いております。

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井戸端から学術まで

日々の世間話って、後から思い出しても内容をよく覚えていないことが多いですよね。

具体的に思い出せなくても、ほんわかした、楽しい思い出が残っていたり、モヤモヤしたりしてるんじゃないでしょうか。

普段の何気ない会話から、一言に重要な意味や価値を込めた裁判や学術会議などまで、言語で表現するという行為はコトです。

ということは、どんな会話であってもへそ思考からは逃れられないというか、へそ思考の関係性で見つめることができるのです。

へそ思考のような難しい話は難しい場面だけで役立つと思ってしまい、自分とは無縁だと考えてしまう方もいらっしゃるようです。

当たり前のことなんですけど、どこでも当てはまるので、生活の全ての場面でこの思考形態がぐるぐる回っているのです。

どこから見つめるか、どこにこだわるか、どこへ移っていくかなどを探ると「こころ・出来事・仕組み」の3つに分けられます。

それぞれの中身はさらに複雑に別れます。
特に複雑化するのは仕組みです。
既知の理論、未知の法則、仮定した概念などもここに入ります。

ですから、ここにとらわれてしまうと自分が向き合いたい方向を見失う原因にもなり、とにかく解決するために多くの具体事例を挙げて8つの格言とか12の法則とかの言葉が飛び交う原因となります。

でも、それで本当に自分の悩みや不安を解決できていますか。
次の課題に対応できず、別の言葉を求めてしまうなどに陥っていませんか。

つい、誰かの言葉や実践や法則などに頼って、自分の悩みが解決できると思い込みがちです。

そんな時にこそ、思い出して欲しいことがあります。

それは、
へそ思考で最も大切な意識とは「答えは常にあなたの中にある」です。

あなたらしいかたちづくりに向かう流れを、ぜひへそ思考で見つめてください。
あなたがあなたらしいかたちで生き生きと生活すること。

それがことづくり生活で伝えたいことです。

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大阪の国立国際美術館

週末は学会参加のために大阪です。
その前に京都にも用事があって、早めに高松を出発しました。
そして中之島にある国立国際美術館へ。
今はブリューゲル展をやっています。
東京で観られなかったのですが、ようやくバベルの塔に対面できました。
印刷とは全く違って、とても澄んだ色合いでした。
なにより色が鮮やかで緻密な描き込みに感動しました。
わざわざ足を伸ばした甲斐がありました。

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物欲は男性脳?

よく、女性はブランド品を欲しがると言われます。
それは本当でしょうか?
男性だって、収集が趣味(コレクター)という方を結構見かけます。

確かに女性の中にはブランド品で身を固めていらっしゃる方も見かけますが、前述の男性的な「物欲」とは少し違う気がします。

さて、男性脳と女性脳というわけ方をする考え方があるようですね。
私はその類の本を読んだことがないのですが、物欲にもそう言った性差的な領域もあるのかなと感じることがあります。
それは生物学的な性差というよりも、父性と母性といった精神的な性差として分ける男性脳や女性脳という表現なのでしょう。

この、生物学的な「もの」よりも精神的な「こと」から見つめていけば、性的マイノリティの方達も理解されやすい気がしています。

「収集」という行為はただひたすら集めたり、大系的分析的に集めたり、価値上昇を狙ったりすることなどですが、モノに思考の中心があります。
これに「活用」という態度が加わると、モノを用いたコトが生まれます。
どんな仕組みを用いて出来事をつくるか、その楽しみが自覚的に行われるようになっていくのでしょうね。

「物欲」という概念も、へそ思考で見つめると3つの方向が掴みやすくなります。
そして、それは絶対的な解ではなく、あなたにとってのかたちづくりに必要な答えとして活用すれば良いのです。

あなたらしいかたちづくり。

いろんなものが欲しくなってついつい買ってしまう方も、一度へそ思考で自分自身と向き合ってみるのも良いきっかけづくりになると思いますよ。

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老眼が進んで。。。

この3月から、本ブログで思ったことや感じたこと、考えたことなどをツラツラと書いてきました。

書いて考えをまとめるという点では、とても勉強になっていますが、スマホで何時間もメモ帳と格闘しているためか、一気に老眼が進んできました。

今のところは週に4回ほど更新をしていましたが、またしても更新期間の間が広くなりそうです。

ふぅ。
パソコンの方が便利なのはわかるんですけどね。
スマホの方が、書きたいた時にすぐ書けるという利点があるだけにちょっと残念ですけど、これ以上目を酷使するのもよくないので、ちょっと考え中です。

ご覧いただいている方には少し間延びすることになるかもしれませんが、記事は書き溜めていきますので、変わらずご訪問くださることを楽しみにしております。

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