悪しき引き寄せに注意

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昨年末から変なメールが届き始めました。
パスワードを手に入れてるからこのメッセージ通りに変更しなさいとか,発注を受けたので商品を送りますとか,手を変え品を変え,自分の都合が良い方向に話を進めようとする人たちがいるようです。

これらは人の不安感を煽る「引き寄せ」の効果を利用しています。

志向的な人との繋がりをつくる「良い引き寄せ」だけではありません。
自分の価値や都合に取り込む「悪しき引き寄せ」もあります。
悪しき引き寄せは不安感を煽るだけでなく,もれなく安心感もついてきます。だからこそわかりにくくて難しいのです。

わたしたちの日常に蔓延するひとつに催眠商法があります。
これは相手の価値基準と自分の価値基準が同一のように錯覚させる手法です。

そこで得る安心感にはWin-Winがあるかのような【あなたの願いを叶えると私の願いも叶う】が潜んでいます。
この姿勢に込められた意図はなんでしょう。

例えば相談してもいない悩みに対して解決策を提示する,ないしは実際に解決させる相手ほど,自己承認欲求が強い傾向があり,相手への支配的欲求も強いのです。反社会的勢力と呼ばれる組織に属する人はこのあたりが巧みですよね。

「あなたのため」と言う姿勢が強い人には注意が必要ですが,当財団のことラボでも「あなたのため」と言っていますよね。これは私たちの主張と矛盾しないのでしょうか。

ことラボ(ゆかいスタイル)では,依頼されないことはしません。依頼されてもお断りする場合だってあります。
基本はセルフワーク,そしてセルフエデュケーションへとつなげたいからです。
お手伝いに徹し,世話を焼かないので冷たいと感じるかも知れません。
これは「あなたへの願い」ですが,必ずしもあなたの願いと一致しない場合もあるという前提は残っています。わかりにくいかも知れませんが,そこが大きく違うところです。

では,そのあたりも含めて見つめてみましょう。

基本的に自分の都合に取り込む手法は,人を同一価値観に丸め込むための最も初歩です。囲い込みとも言い,そこには同調圧力的行為が頻発します。
あなたの悩みの本質はあなたにしかわからないのに,その解決方法を複数提示することなく《あなたの悩みを知った。それを解決する方法はコレだ》という図式が成立するようでしたら,まず疑いましょう。

論点のずれを見抜くのはなかなか難しいのですが,マジックのように相手に選ばせたい選択肢は決まっていますので,微妙に視点がずれても良いので質問をして選択肢を出させ続ける方法があります。そうすると話の要点がだんだんと焦点化してきます。これは話題の本質を押さえるテクニックのひとつです。質問を邪険に扱う人だとすぐにアウトなので,これは初心者でもすぐに判断できますよね。

複数提示であっても二項の場合は,意図の本質を明確にする質問をぶつけましょう。
提示内容の「肯否か」や「どちらを選んでも○○」の場合は,そのもっと選択肢を要求ながら本質的な意図を探ります。
選択する側にならないような流れを作るのです。
孫子などの兵法にはいくつかランクがありますが,これは中の兵法です。
状況を把握しつつ臨機応変にいくつも次の策を講じながら,判断を保留しつつこちらのペースにもち込む機会を見定めます。

次に「拙速な判断要求があるか」という点が加わります。
メールを例にすると,今判断しないと取り返しのつかないことになるぞ,という強迫めいた脅し文句が潜んでいる場合もありますが,いきなり脅し文句を言うとたいていはバレるので,最近はちょっと手法を変えてきているようです。
「あなたのため」だから「早く判断してね」という論理の流れは,主導権があなたではなく発言者にあります。例えば,期限を指定してくる手法やお得さがなくなるという不安を煽る手法は,主導権がこちら側にありません。相手のペースです。

ここでは時間を延ばしましょう。一時保留させるのです。
すると大抵は待つような態度を見せますから,その時に「もっと違う選択肢はないか」と,他の意見を幾つも出させるよう要求します。急かすのは明らかにおかしいと判断しましょう。そして最初のテクニック(判断材料を複数要求する)に持ち込むのです。

この「待っている振り」の場合は,そこに込めた意図を考えてみましょう。
待ってくれるのは,何らかの『意図』があるからです。その意図は必ずその人の利益になる方向があるのですが,それがどのような《事実》に繋がっていくかをあなたが分析できるような情報を聞き出します。そうして,こちら側のペースに戻せるようにしましょう。

「何度も同意を求める」話しぶりにも注意が必要です。
話をしていると頷くことを強要してくるかのような,自分の正当性をやたらと主張する人が居ます。センテンス毎に判断の対象を提示し,「でね,こうなってね,それでね,こうなんだよ」などなど。

同意の強要は,話し手の価値観に引き込む最も初歩的な手法です。
幼い子どもがこれを多用するのは,かまって欲しい自己受容欲求を満たして安心感を「引き寄せ」たいからです。ところが大人が使うと,見せかけの相互承認という「悪しき引き寄せ」にも転用可能です。

この手法には結構な頻度で事実とその人の主観的判断とが交差しますが,短絡的な刷り込み(思い込ませ)も多いので,「それはあなたの解釈でしょ」と返せる回数を冷静に数えて,話に飲み込まれない工夫をしてみましょう。

最後は「やたらと世話をしたがる」態度です。
福祉関係の詐欺に多いのですが,優しさを強調するかのように気を回し,心を砕いている態度には,心理学的に見れば相手への懐柔心が潜んでいます。警戒感を解くために,「わたしはあなたのことをよくわかっているよ」という態度を示すのです。

本来,支援は要求されてする後出しじゃんけんみたいなものです。
例えば小さな子どもや身体に障害を抱えている人を例にすればわかりやすいのですが,オトナの健常者はこの感覚を忘れがちです。
みんな自分のことは自分でやりたいし,やれる機会が欲しいはずなのです。
でも,オトナには誰かにやらせて自分は楽をしたい,という思いも自覚できているので自分の本意が自分でもわかりにくくて厄介なんですね。
依存させるのは悪しき引き寄せの常套手段なのですから,依存を誘っているな,という出来事には注意しましょう。

気づいたからやってしまっただけだよ,という杖を先に差し出す態度には見まもる姿勢が薄いと言わざるを得ません。たとえ要領が悪くても任せることができるか。他の選択肢はいっぱいあるとあなたを安心させる器量があるか。

誰かと幸せを築く行為であっても,あなたの幸せの答えはあなたの中しかありません。
決して他人がどうのこうのと言える話ではないのです。
あなたが判断するしかありません。

当然,これを書いている私にもあなたの幸せがどこにあるかはわかりません。
他人の価値意識の中ではなく,あなた自身がつくりださなければいけない態度。そこに幸せが潜んでいます。あとはそれをちゃんと見つめられるかどうか。

こんな簡単な自明が曖昧になるのは,自分のことすら絶対的に理解できない私たち人間にとって他人のことなどわかるはずもないのに,同時に自分をわかって欲しい承認欲求もあるからです。

わかってくれた,と思うあなたの《解釈》が,あなたを迷わせるのです。
悪しき引き寄せはあなたの「わかって欲しい」心理も巧みに突いています。

あなたの判断をお手伝いする姿勢ではなく,私の主張にあなたの良い道があるのであなたはその中から判断しなさいという姿勢は,既にあなたの価値観ではなくなっています。
それを徹底すると,「ことラボ」のような営利からはほど遠い形態にならざるを得ないのです。

良い引き寄せには,あなたのアイデアと行動力を未来志向につなげる【あなた自身が新たな選択肢を生み出す姿勢への支援】が込められていると考えています。

これらは,あなたを悪しき引き寄せから身を守る方法の一つの基準です。
そして私たちの活動も,そのような悪しき引き寄せを起こさないように日頃から自問自答し続けているところです。

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