かたちのあらわれ

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ことづくり生活とは,様々な「かたち」を「つくる」生活を指します。
その中心となる【こと】は,『かたちのあらわれ』と呼んでいます。
「つくる」に関しては創出に向かう行為や行動です。

ここでは「かたちのあらわれ」についてまとめてみましょう。
積極的に「かたちのあらわれ」へ関わってつくりだす行為や行動がことづくり生活です。

この表現は的確に意味を指し示しているのですが,みなさんが普段から使い慣れた言い回しではありませんし,「で,それって?」という次の疑問を生みます。
それをもっとかみ砕くと,以下のように置き換えが可能です。

自分で毎日を紡ぎ出す生活

ささやかでも自分が関わってつくりあげる日常生活が「ことづくり生活」ですから,さわやかな朝の目覚めでちょっと凝った朝食をつくったとしましょう。目玉焼きが上手に出来てもちょっと焦がして失敗したとしても,それはあなた自身が関わり愉しみつくりだした生活です。

日々の積み重ねによってわたしたちはかたちづくられます。
厳格な仕組みを理解し操作できたかどうかが問われるのが結果としての成功や失敗であって,どこかが違っているから想定とは違った結果が現れただけです。

もっと言えば,ことづくり生活とは前述のような失敗や成功が大事な要素なのではなく,そこに至るプロセスをたのしむ生活。
ちょっぴり早起きして朝日を浴びると,なんだか凝った朝食がつくりたくなった。テーブルの上を片付けて,久しぶりにテーブルクロスも出してみた。
これだって立派なことづくり生活です。

ひとつの結果はゴールではなく,人生という日常に起こる数多くの出来事のひとつです。
人は万能ではありませんから,成功すれば失敗もします。成功すれば素直に喜び,失敗すれば次にどうすれば改善できるか考えれば良いだけです。
こういった出来事を,次へのスタートや契機と捉え直す人もいるでしょう。
何をどのように捉えても,あなたがあなた自身でいるための時間を大切にしながら過ごすことに変わりはありません。

誰かがつくった流行に乗ったり,無心になれそうな遊戯施設や非日常を売りにする場所に出かけたりすることも楽しいのですが,ことづくり生活は日常生活ですから毎日のこと。
その毎日を自分が紡ぎ出していると実感できる生活を送るには,日常生活のプロセスを意識したり分析したりして愉しむことだと考えます。

(非日常には「逃避」という心理的欲求とは無縁でいられません。経営的には逃避行動を巧みに利用し付加価値や特別感を伴う囲い込みを行うことが求められますが,私たちはそこに価値を置かずにひとりひとりの自覚的随意的な行動を大切にしています。ですからことづくり生活ではそれも日常の一つと位置づけ,そのあいだを行ったり来たりする意味を込めて「もうひとつの日常(パラレルデイリー)」と呼ぶようにしています)

あなた自身が「毎日をつくっている」という実感を伴う生活を送るために,『かたちのあらわれ』を自覚することが大切なのですが,その『かたちのあらわれ』とはどのような状態なのでしょうか。

まずは「かたち」を見つめてみましょう。
かたちは大きく3つに分類できると考えています。
これもH.E.S.O.思考であらわせます。
「かたち」には,容・貌・形・型など様々な意味をもつ漢字が登場しますが,ここではそれらの「かたち」の出現原因を追究します。

・こころー心情で類推するかたち
・出来事ー感覚器で捉えるかたち
・仕組みー法則で導かれるかたち

心情で類推するのは,例えば能や演劇に代表される身体の動きや,茶事などの所作から品位なども含めた様々な感情や格式などを読み取れるかたちです。
感覚器で捉えるのは,例えば美術作品を見て色や図形や組み合わせなどからその特徴を捉えられる,視覚や聴覚,触覚などに起きる出来事を読み取れるかたちです。
法則で導かれるのは,例えば物理学的関係式と呼ばれるE=mc2のような現在解明されたルールなどが明確かつ端的に表記されているかたちです。

次に「あらわれ」を見つめてみましょう。
あらわれも,H.E.S.O.思考で大きく3つに分けて考えてみます。
こちらは状態の分類をしますので,該当すると思われる漢字を活用しました。

・こころー代弁者として想いを伝える「顕れ」
・出来事ー対象者の意図を具現化した「表れ」
・仕組みー仕組みから生じた何らかの「現れ」

ここでは「顕れ」は褒め称えるという顕彰の意味として用いています。自分のことではなく誰かの何かのコトの素晴らしさを伝えるための「あらわし」です。
「表れ」は人が何かしらの立場で関わっている前提で用いています。それに対して「現れ」は人が設定したかどうかに関わらず厳密な仕組みから生み出される状態です。

表現という言葉についてこの分類で見つめると,例えば絵の具を混色すると「現れ」として混じり合った色が出来ますが,その現象を自分なりの形に置き換えると「表れ」をつくりだす行為となります。このように見つめると,2つが関係し合っているという意味が込められていると解ります。

この分類では,出現原因から状態発生への流れがありますから,上記の組み合わせによって『かたちのあらわれ』は9種類に分化されます。

最後に。

H.E.S.O. thinking(へそ思考)はこのように,全ての思考の原理として活用することが可能なのです。

当然ながら,『かたちのあらわれ』について,これが絶対的な分類とは断言しません。
みなさんがお感じになるように見つめ直して頂けるきっかけとなれば,それはそれで充分です。このように分類することで今自分が何を目指すのかや何をやっているのかなどを分析的に見つめるコトが可能になると解って頂ければ幸いです。

 

基本1> H.E.S.O.思考(戻る)
基本2> 基本と志向の姿勢(戻る)