以前も「あいだ」についてはいろんな場面で話してきました。
※例:「場は解釈でつくられる」
この,「あいだ」について研究している方も結構いらっしゃるようです。
私がこの仕事を始めてから一念発起して大学院に進み,そこでの修士論文を「ことづくり」で書くために参考にしてきたのは,木村敏(精神病理学者),浜田寿美男(心理学者),梶田叡一(教育学者)などの方々でした。そして手探りで研究しながら,その内容の共通項を探っていく内に現象学に出会ったのです。
ずっと以前から,二項対立に陥らないようにすることへの重要性は分かっていたのですが,ではどうしたら良いかという問いに対する答えがなかなか見つかりませんでした。
実際に,私は教員生活を送る中でディベートを授業でやらせることもありました。そのときは理解できていませんでしたが,自分の中に腑に落ちないことがあって,何か違和感を感じながらでも,議論させることで生徒の論理的思考を養うんだと自分に言い聞かせてやらせていました。
それはマイケル・サンデルの白熱教室という番組を見て,なお一層その想いを強くしたのを覚えています。
私は基本的に「あまのじゃく」なので,Aと言われるとB,AかBかと言われるとCと答えたいタイプの性格です。それを「あまのじゃく」という言葉でくくってしまい,あまり良くないのだろうなと感じてもいました。
三項関係という言葉も,以前から知ってはいました。
3つにすることで,対立意識をかわすこともすりあわせをすることもできるんだと,なんとなくの認識でした。
そんなとき,「あいだ」という概念を聞き,なるほど!と思ったのです。
二項でも三項であっても,その対象となる考え方をぶつけ合ったりすり合わせたりして関係させ合う場は必要です。その「場」をあいだと呼べば,すんなり納得できたのです。
そしてことづくりの考え方に「あいだ」を取り込みました。
この「あいだ」を考える方法は,至って簡単です。
例えば,表と裏という関係があります。
まぁ,ここでは難しく考えずに「表」と「裏」にあいだにあることを考えてみるのです。
「善」と「悪」もそうです。
世の中で対立軸にあると考えられる二つを並べて,そのあいだを探るという方法です。
共通することがあるとすれば一体何だろう,と。
これが,共通了解を探るひとつの手法ではないでしょうか。
特に対立軸になくても「あなた」と「わたし」でも構いません。「男」と「女」でも,「車」と「徒歩」でも,二項対立的な議論で持ち出していた内容でも充分ですが,明らかに対立軸にある項目のほうが,「やったぞ感」は出ます。
さて,あなたが考えるこれらの「あいだ」には何が見えますか。
その意見交換することも,また楽しいのではないかと思います。