32thまなびあい勉強会

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先日行われたまなびあい勉強会についてまとめたレポートです。
どうぞご覧ください。
なお,次回33thまなびあい勉強会は8月下旬を予定しております。

第32回まなびあい勉強会 (2018年6月2日)
講師:群馬大学
教育学部 教授   茂木 一司 先生
インクルーシブなつながりを美術から

茂木先生は、全ての人が共存共栄する社会の実現に向け、インクルーシブアート教育を研究されています。inclusionとは直訳すると「含有、包含」で、「排除」を意味するexclusionの反対語であり、「全体」を意識している用語です。障害や高齢などを含めて全ての人が共生するインクルーシブな社会には、アートのような差異や多様性を前提に、それを活かし、それぞれの個性を調和させながら全体をつかむ統合的総合的な教育力が基礎になるべきではないか、とのお話をしてくださいました。

また、フラットで共に生きられる世の中にするための「アートのかたち」を探究し、バリアフリーなダンスワークショップ、まえばしアートスクール計画など、「心動かされる体験」の場を仕掛けているそうです。楽しい学びを作るためには、「何をやるか」ではなく、「誰とやるか」が大事である。考えてから動くという頭でっかちではなく、まず身体を動かしてみる。出来ることの量や質を問わず、それぞれの得意なことを分担する、など、先生が大事にされている姿勢を言葉で明確に示されたことが、印象に残っています。

勉強会の後半はワークショップが行われ、「アートとは何か」というテーマのもと、グループごとに話し合いました。
・自分が自分らしくいるために必要
・様々な価値観に触れることができる
・自分と外の世界をつなぐもの
・その瞬間、瞬間での人、自分と深くかかわるもの
・そこにあるものを見る、感じる、捉える感性そのものがアートであり、それが心を豊かにする
などの意見が出され、参加者から、「アートについて深く考える機会だった」、「アートの必要性が確認できた」、「価値についての広がりと深まりを感じた」などの感想をいただきました。

様々な立場の人たちが、各人の違いを認識しながら、それぞれの違いを強みとして、また、共通性を探しながら共に生きるということは、とても大事な社会のあり方だと思います。

翌日は善通寺市にある、独立行政法人 国立病院機構 四国こどもとおとなの医療センターに見学に行き、当病院のホスピタルアートについて、アートディレクターの森さんよりお話を伺いました。エントランスにある小人の家、外壁画、病棟ごとの色使い、屋上庭園など、心温まる仕掛けが盛りだくさん!患者さんを想ってこそ、スタッフの仕事のしやすさを想ってこそのアート、「思いやりがかたちになっているアート」を目の当たりにし、これこそインクルーシブアートなのではないかと感じました。

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