ベクトルの強さや流れ

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今回は「こと」の方向性の強さについてのお話です。

ことづくりの視点は3つの丸が重なりあっています。
研究ではよく行われる象限分け(X軸とY軸を用いて4分割する手法)の方法にも方向性があるように,H.E.S.O.思考(へそ思考)にも方向性は存在します。

例えば,音楽表現の場合。
「作曲」への敷居は高いと感じる人が多いのではないでしょうか。私もその一人です。
身体表現でも,柔軟性に乏しいガチガチな身体の私では,創造性に加えて躍動性も要求されるとほとんど動けないでしょう。
そもそも作曲するにはメロディやリズムと行った音楽的要素の「仕組み」が理解できないと,音自体は作れても人の心に響くような作曲は難しいですよね。

同じようなことは造形表現領域でも言えます。
絵心がないと感じているのに,いきなり「感覚で絵を描け」と言われても辛いですよね。「こころ」で何をどう捉えたら良いかがわからないので,感覚重視の作家などに「無心になれ」と言われても「はぁ?」って感じることでしょう。

もっとも,最近の美術表現はそっくり写実的に描くことなく,なんでもオッケー的な部分も増えてきています。それは音楽でも,身体表現でも同じでしょう。

当然模写が重要であった時代もありますし,今でも模写にこだわる人たちもいます。
工芸分野では,むしろ技術的伝承が絶えないように綿綿と受け継がれていく重要な役割も担っています。

この再現性を基準にした表現姿勢に対して,厳密な再現性にこだわらず即興性重視(「出来事」重視)の表現もあります。
他には知的障害をもつ人が生み出した作品に独特な世界観を感じ取る姿勢を重視する美術館もあって,実際にその作品が高額で売買される状況もあります。

このように,とても幅広い「表現」が混在しているのが現在の社会かも知れませんね。

これらを,ことづくりの視点から方向を見てみましょう。

「仕組み」とは,現在ある理論なり構造です。
(もちろんこれから生まれる未知の内容だってあり得ますが。)
作曲され,メロディやリズムの構造を確立し,誰もがある程度の再現性を基準にして,同じ曲を奏でることができる,枠組みです。
これを用いれば,演奏会などの「出来事」につながります。
スポーツでも,お互い守るべきルール(仕組み)に則って「出来事」を演出します。
どちらかと言えば仕組みから出来事へのベクトルが強そうですね。
そしてその「出来事」に感動するという「こころ」が加わります。

「出来事」と「こころ」でつくる。
例えば子供たちの遊びです。
遊びながら自分たちなりのルール(仕組み)ができあがります。
時にそのルールは,180度がらっと変更する時もあります。
全ては自分たちの都合に合わせて変化させていくのです。

「出来事」と「こころ」の間(空想)。
そこからベクトルが「仕組み」の方へぐっと伸びていくとルールづくりが始まるのです。

ベクトルは,こだわりでありバイアスです。
こだわりとは,強い想い(主観)のあらわれです。
これは「探る」という行為に現れますが,同時に思い込みや偏向(バイアス)も現れます。

これは排除するのではなく,その特質とどのようにつきあうかが大事です。
それはバランス感覚です。
想いは「空想」と「理念」へ伸びる方向性がありますから,自分の想いの外にある「仕組み」や「出来事」と向き合って,新しいじぶんなりのかたちをつくっていく。
H.E.S.O.思考を用いると,自分のこだわりや流れが視覚的に分かりやすくなります。

以前はどうだったか,今はどうか,これからどこに向かおうとしているのか。
未来志向な姿勢を大切にしようとすれば,自分のベクトルの強さがどんな状態の時にどこに向かうことが多いかの特徴を知っておくことは欠かせません。

みなさんも自分自身の特徴を知るために,ぜひH.E.S.O.思考を用いてみてください。

(HP改編準備のため,再編・再掲載)

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