[前回の続き]です。
勉強会で参加者と一緒に考えて苫野先生がおまとめになった、自分らしさの本質である「自己欲望の内的調和」について、今少し見つめてみましょう。
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「自己欲望」とは文字通り自らが望むかたちに向かう欲求です。これをどのように捉えるかで自分らしさへの見方感じ方考え方も変わります。そしてそれが行為や行動に表出します。
基本的に、自分らしさとはあくまで「あなた」という主人公が抱く感覚です。ここには情状性や情動性があります。
情状とは実際の状況で、感情をもつに至った過程や結果です。
情動とは感情の表出で、急激に(短絡的に)態度として現れた情緒です。
情状も情動も、きっかけとなるコトはあります。それは自分の中でひとつのコト(想い)を反芻(はんすう)している時もあるでしょうし、外界からのコト(事態など)による刺激もあるでしょう。
様々な関係性が表れた時に内と外との相対的な意味や価値を見つめ、バランスをとりながら自分の立ち位置を確認していく作業が「内的調和」と考えられます。
また、単なる欲求の中には生理的な欲求も含まれます。
失恋して落ち込んでいてもお腹がグゥとなって我に返り、気持ちと身体は別なんだよね、なんて悟ったような気持ちになることもありますよね。
「内的調和」とは、自分の把握しうる自分自身という存在という「かたち」にある、様々な事態をつないだり程度をわきまえたりすることでしょう。
出し過ぎず、かといって出さな過ぎず、自分の存在を確認しながら「これって自分らしいよね」と言える行為や行動などを積み重ねることで、確信をもって「自分らしい」と言えるレベルに高めることが出来るという意味での調和でしょうか。
また、自分自身を俯瞰出来ているという条件がつきますけど、不安定な状態の自分もまた「自分らしい」ということも可能ですから、いかに自身と向き合い、様々な個性的な特徴を受け入れられるかが必要なのだとわかります。
なんにしても、周囲の出来事や自分の思いなどを自覚して、自分なりの意味や価値などを探る姿勢の中で、自分らしさは見つけられるのでしょう。
ということは、やはり「答えは常にあなたの中にある」のです。
それを見つけようとし、実践しようとする行為や行動にあなたらしさが込められていると言うことですね。
こうして、あなたはあなたのままでいい、という言葉がようやく活きてくるのです。
その意味を考えて使うのと考えていないのとでは言葉に対する重みが違ってきそうです。
ぜひ、あなたらしさを探す機会をいっぱい設けてくださいね。