多義性がつなぐ多様性

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多様性っていう用語は結構世の中に氾濫しています。
社会の多様性とか生き方の多様性とか。
でも、多義性って言うと途端に学術的な雰囲気が出て、ちょっと敬遠してしまいがち、ということはないでしょうか。

早速ですが、多義性についてウィキペディアをのぞいてみましょう。

『多義性とは、ある対象が複数の意味で用いられ得ること、あるいは解釈できることを指す。または完全に一意に定義できないことをいう。』

ある対象とはモノ・コトの両方から捉えることが可能です。言葉もありますし、物質もあります。

直接的な、当初の意味を拡張することで生まれる新たな意味。それから別の価値が生まれます。暗喩はこれに該当します。

多義性と多様性の違い。
それは、モノとコトの違いに似ているような気がしています。
多義は一つの対象に込められた多くの意味。
多様は対象から派生する作用を伴った価値。

上記の分類はいささか乱暴ではありますが、本質を見つめるためには対象の多義性が欠かせませんし、広がりを見つめるには多様性が欠かせないと思うのです。

以前お話しした不便益についてもそうです。
不便益は、多様性を重視するからこそのアナログ的行為や、行為の本質から効率を除いた別のアプローチを積極利用しようとする試みです。
その試みは、多義の比較から発生しているとも言えます。

意味は解釈によってつくられます。
解釈は価値を判断する材料となります。

このように考えると、多様性は多義性によってつながっていると見えます。
どちらかを切り離したり、抜き出して議論しても本質に迫れず、誰かの価値観(無自覚な前提など)に行き着いて全体が俯瞰できなくなる恐れもあります。

モノやコト迫るには意味づけや価値づけが重要だ、というのがここにも表れているようですね。

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