便利と不便のあいだ

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前回は不便益という考え方を紹介しました。しばらくはこれに関連する話題を取り上げてみようと思います。

さて、みなさんも不便と言われると、反射的に便利という言葉が飛び出してくるのではないでしょうか。お風呂のお湯を張るのに、ガス給湯器に対して薪で沸かす、のように便利と不便を対立軸で考える習慣は、ほかにもいっぱいありそうです。

では、便利と不便は対立しているのでしょうか。

いわゆる二項対立でコトを見つめると、その二つの間には見えないアマゾン川が流れ始めます。
浅瀬で渡れるところもあれば、橋をかけるのが困難な場所、流れが急な場所、危険生物が潜んでいる場所、何より無数に張り巡らされた毛細血管のような川の数。。。
とまぁ、こういうのをメタファー(暗喩)と言います。

へそ思考では心理学的な用語もしばしば登場するので、ちょっと分かりにくいかも知れませんが、これをきっかけに興味をもっていただけると嬉しいです。

話を元に戻します。
対立軸で見ると、必ず「あいだ」がどこにあるか?という議論も引っ張りだされます。そして境界にある事項を議論することになります。

ケンケンガクガク議論しあうのも良いのですが、あいだの議論というのは困難を極めます。何故なら価値観の相違によって見つめる先が異なるからです。
それをなくそうとする働きが大きくなると、そこに普遍や客観という概念が生まれます。場合によっては超越論までもちだすことになるかも知れませんが。

果たして「あいだ」の答えは導けるのでしょうか。
ことづくりを研究する上で、この「あいだ」について調べた時期があり、精神病理学者の木村敏や発達心理学者の浜田寿美男、教育学者の梶田叡一などの書籍を参考にさせて頂きました。
この「あいだ」のお話は公式ホームページにも記載しておりますが、いつかまた致しましょう。

きっちり分断線から分けることも、曖昧に放置しておくこともできない状況が、ことづくり生活においてはよく起こります。このような場面で望ましい基本姿勢とは、共通項を探る態度なのです。

ではどうすればその態度がとれるのでしょうか。
その、とても簡単な方法をお教えしましょう。

『便利と不便の共通点を探る』

両方に共通することはなんだろうかと、いっぱい頭をひねって、多くの人と志向的な議論を重ねるのです。

せっかくですからひとつ事例を。
空と海のあいだはどこにあるのでしょう。
海面ですか?
本当にそうですか?
海面が存在しなければそれは海ではなく水の中です。では、海面から1ミクロン上は空と呼べるのでしょうか。
この際のひとつの回答は、あいだを見つめている者がどこにいるかに隠れています。さぁ,もうこれ以上はやめておきましょう。
あとはみなさんで考えてみてください。

他には、表と裏のあいだとか、正義や悪のあいだ、のように一般的に相反すると思われる事象の「あいだ」を議論し合うのです。これがティベートと根本的に違う原理で議論しあう方法です。そしてこれにへそ思考を重ね合わせるのです。

あなたにとっての「あいだ」。
さぁ、どんなことがありそうですか?

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