30th勉強会の報告

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先日行われたまなびあい勉強会のレポートをスタッフがまとめましたので、ここでお知らせします。

参加者も参加できなかった方にも、このレポートをなんらかの気づきやきっかけに用いて頂ければ幸いです。

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第30回まなびあい勉強会
(2018年2月17日)
講師:京都大学
環境学研究科 教授  酒井 敏 先生
フラクタル日除け ~自然は完璧を目指さない~

今回のテーマであるフラクタル日除けとは、樹木の形状をしていて、隙間だらけの不思議な構造をした日よけです。雨も風もしのげない日よけですが、中に入ると木陰のような涼しい空間があり、木漏れ日は幾何学模様を作り出しています。フラクタル日除けがヒートアイランド対策の救世主になるのではとひらめき、実験や研究を重ねてこられた様子をお話いただきました。

酒井先生は「研究とは、人がやらないこと(分からないこと)をやることである」との姿勢を大事にされており、海洋物理がご専門ですが、学生が興味を持ちやすく、面白いと感じる分野として、気象に注目されました。ヒートアイランド現象の観測データとしてアメダスの既存のデータよりも細かいものを収集しようと、オリジナルの測定器を作成し、自分たちで観測した話、アスファルトや表面積の広いものが熱くなることの証明実験、自己相似の形を無限に繰り返すと自然の葉っぱの形に近づくこと、4分の3の無限乗は0になるというシェルピンスキーのガスケット図形は、整数ではない1.7次元があることで証明される話など、どの話も初めての分野で面白く、大変印象的でした。

また、「点を1つずつ増やしていくと、ある瞬間に線で繋がる」、「行動原理は面白いかどうか」、「頭で考える前に、まずやる」という酒井先生ご自身が大事にしている姿勢を紹介してくださいました。頭の中で考えても、絶対的な答えなんてあるはずもないし、分からないことは必ずあります。考えたとおりに成功するはずだと思うから、そうならならなかった結果を「失敗」と捉えてしまいがちですが、「こうなることもある」というように新たな発見として捉えることの大事さを教わりました。

自分が面白いと思ったこと、目の前のものをやっていくと、点は無数に増えていきます。理屈ではなく、好きや楽しいという気持ちを大事にし、まずやってみるということは、効率的ではないかもしれませんが、新たな発見があるでしょう。真面目に考えすぎて、一つのことに固執しすぎると融通が利かなくなり、行き詰まることも出てくるという話は、普段の自分の様子そのもので耳が痛くなりました。ある程度の矛盾や、少し変わったけどまぁいいかと許容する姿勢やゆとりを持つことで、無限の可能性が広がるそうです。

ときにはじっくり考える姿勢も必要ですが、まずやってみるという姿勢も大事。バランス良く生活し、まだ見ぬ点をどんどん増やしていきたいなと思いました。どんな風に線で繋がるのか、フラクタルのような不思議な図形になる可能性もあるかもしれないと思うとワクワクします。新施設に設置されるフラクタル日よけがよりいっそう待ち遠しくなりました。

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