先月の29日に行われた勉強会の概要を、スタッフがまとめてくれました。
以下に紹介しますので、参加できなかった方も何かしらのきっかけを得ていただければ嬉しいです。
第28回まなびあい勉強会(2017年7月29日)
講師:所沢市立三ケ島中学校 校長 沼田芳行先生
主体的対話的な学びを育む三ケ島アートプロジェクトⅡ ~朝鑑賞を媒介に~
〇はじめに
沼田先生は、学校をより良く、生徒が楽しく過ごせる場所になるようにとの思いから管理職を進む道を選択されました。専門科目は社会科ですが、武蔵野美術大学の三澤教授と同僚であった経験から、美術のもつ力に着目されています。所沢市立三ケ島中学校の校長として、美術を媒介にした取り組みを紹介いただいたのが今回の勉強会の内容です(黒板ジャック、対話型芸術鑑賞教室、朝鑑賞、校内美術館など)。
〇朝鑑賞とは
10分間の朝活動の際に、先生がファシリテーターとなり、美術作品を鑑賞する活動が朝鑑賞です。
先生からの「この絵の季節はいつかな?作者はどんな思いで描いたのかな?この絵で創作ダンスができるかな?」などの問いかけにより、対話型の鑑賞を行っています。一方向ではなく、双方向型のコミュニケーションを行うことで、当初懐疑的だった先生方も、生徒の意見を引き出す発問を工夫するなどファシリテーターとしての力を身につけたり、校内研修を積極的に行うようになったりしています。
鑑賞に正解となる答えはないとの立場から、生徒は自分なりの見方・考え方をもち、自由に発言できます。自分の意見をもつという主体的な学び、先生の問いかけや友達の意見に対して発言するという、対話的な学びにつながっています。美術作品を通して自分の頭で考える、その考えを言葉にすることで、思考力・判断力・表現力が養われます。
また、友達の意見を聞くことで、自分と同じ部分、違う部分が見えてきて、様々な考え方があることに気づきます。一人ひとりの良さを認め合い、価値に気づき、他者と摺り合わせることで、合意形成につながるそうです。
〇まとめ
目に見える成果としては、学力が向上したり(特に国語の表現力)美術部の生徒が増えたりしています。主役はいつも生徒であり、生徒の力を引き出すことに主眼を置いている沼田先生の取り組みにより、生徒の心に、分かること・できることが楽しい、学校は楽しい場所だ、といった変化があらわれているのだと思います。美術を通して心豊かな人生の基盤を築こうとされている沼田先生の取り組みから、自分の生活に取り入れたいヒントをたくさんいただきました。