モノは仕組みで分解される2

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前回からの続きです

《全ては解釈から》
○「白い」という意味

モノとコトが分けにくいという人もいるようです。敢えて分けない人もいます。

ですが、意味とは人が付与するのであって、自然物それ自体が意味を自覚し把握して存在しているわけではありません。超越的存在(神など)を規定するならともかく、一般的にはあくまでも仕組みと出来事のあいだの相関関係で成立しているだけだと考えられます。
人は、それらを見つめて意味付け価値づけを行なっています。なぜならそれが「世界をとらえる」ひとつの方法だからです。

ことづくり的に言えば、例えば『人が「出来事」を見つめて「仕組み」を発見して、後付けしている』となります。
それを「意味生成」と表記することもできるでしょう。

例えば、白。
白いのはそのモノがもつ特徴ですがモノ自体ではありません。ただモノを理解するには必要な要素ですね。
白さとは、モノを形容する用語ですからコトになります。
(ちなみに「対象と作用」で分けようとすると違う視点が必要ですのでここでは触れません)
このように、モノとしての形態や事態に付随するかたちで「白」は捉えられることが多いですね。

その「白」はどんな色にも染まる。
といえば、色彩の混色や重色などの仕組みを意識しているとも言えます。

ところが、別の考え方もできます。

色の「仕組み」から言えば、白い光が差している条件下で、すべての光の波長を跳ね返しているから白く見えるのです。
科学的には、赤い色のバッグとはその素材が赤い色を反射し、その他の光の波長を吸収しているから赤く見えるのだそうです。
これが「白」く見える仕組みのひとつです。

つまり白は全てを受け入れない。
跳ね返す色とも言えるのです。
こうなると、先程とは違った意味が生まれます。

解釈の違いを何となくわかって頂けたでしょうか。

 

○やっぱり肝心は「解釈」

何をどう解釈するかはそれを受け止める人によって異なるということが、上の事例からも明らかです。

例えば、美術品もモノの概念から見れば素材と物理的要因の結合体です。作家はその色やかたちや素材の仕組みを用いて独自の表現をするという「出来事」を生業にしています。
観る側は、作品というモノに解釈を加えることによって、尊くなったり、ユニークになったり、感慨深くなったり、嫌いになったりするのです。

こうやって見つめていくと、人はモノに込めた「こころ」と、モノの「仕組み」をきちんと区別せずに語っている場面が意外とありそうですね。

例えば商品をつくった人の理念や、手に入れたい人の空想や、そのモノがもつ機能を同じ土俵で語ってもすれ違いが生じるのは、へそ思考の図式でも見つめられます。

こういった場合は得てして平行線な議論に終始したり、枝葉末節にこだわってしまったりして、本質から外れてしまいがちなようですね。

最近はビジネスの世界でもコトが重視されています。以前紹介した不便益も、コトの概念から生活を見つめています。

モノを仕組みから分解する。
コトから世界を捉えてみる。
考え方を整理してみる。
そして生活にゆとりと豊かさを。

そのために、へそ思考をご活用頂ければ幸いです。

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