何をするにしても「能力」が問われる場面は多くあります。
能力は職業にも活かせますし,磨けば更なる向上も夢ではありません。
文部科学省のホームページにはOECD(経済協力開発機構)におけるキーコンピテンシー(主要能力)が取り上げられています。
「コンピテンシー(能力)」とは、単なる知識や技能だけではなく、技能や態度を含む様々な心理的・社会的なリソースを活用して、特定の文脈の中で複雑な要求(課題)に対応することができる力。
とされていて,以下のような定義づけがされています。
「キー・コンピテンシー」とは、日常生活のあらゆる場面で必要なコンピテンシーをすべて列挙するのではなく、コンピテンシーの中で、特に、人生の成功や社会の発展にとって有益、さまざまな文脈の中でも重要な要求(課題)に対応するために必要、特定の専門家ではなくすべての個人にとって重要、といった性質を持つとして選択されたもの。
これは更に3つに分類されていて,ざっくりと分けると(個人・対人・社会)に関わる能力について詳細に述べられています。
ことづくり生活では(ゆかい・まなびあい・ともに)という3つのスタイルが,このキーコンピテンシーとリンクしています。
さて,それでは「ことづくり」に対して,能力はどのように位置づけられるでしょうか?
結論から申し上げると,ことづくりは姿勢であり,能力は段階(レベル)です。
積み上がり,組み合わさることでかたちづくられるのですから,その「状態を分析的に見つめる」H.E.S.O.思考の表自体には直接載っていませんが,確認はちゃんとできます。
一つの「こと」を見つめるフレーム(枠組み)と,フレームの分析判断力とは違います。
「分析をすること」は様々な条件に照らし合わせるという作業を伴います。個別応答的に見つめることで全体を把握していく方向性です。
H.E.S.O.思考的には,3つの領域からそれぞれの領域を見つめている状態です。
一方で「分析とは」というのは,全体把握を伴う概念的で対象化された存在ですから,H.E.S.O.思考的には中央から3つの領域を見つめている状態です。
そして,仕組みから出来事を創出するための機能的な要素も含みます。
運動神経や思考形態などの個人特性は、各自のもつ「仕組み」です。当然,これらは鍛錬や習熟も可能です。様々な「仕組みを知る」とは,知識を手に入れることでもあります。
それらを元にして,【出来事を創出する力・参画する力】。これが能力です。
行動(アクション)を起こして,その先で一定の成果を修めるには,何がどのように機能するかや効果や効率について理解しているかなども問われます。
ささやかなことですが,自宅のトイレを飾り付けて落ち着く空間づくりをする,これだって立派な【出来事を創出する力】ですよ。
知識の再確認,と呼ばれる,「A」を問う問題に『A』と解答できる力も能力です。
ただし,Aを知っているだけでは,本当に生活に役立っているかどうかは分かりませんよね。だって生活には様々なシチュエーションがあって,それにどうやって当てはめて活かすかが問われるのですから。
生活に活かすには再確認だけでなく,再構築も行う必要があります。
近年話題になってきた経済学者シュンペーターの「創造的破壊」も,芸術の世界では古来より行われている行為で,再構築があるから新しいイノベーションが起きるとも言えますし,それが時代の変換点として認識されている状況もあります。
H.E.S.O.思考的には「みつめて,ひきだし,たかめて,みまもる」の4つの姿勢の中でも,特に「ひきだし・たかめて」で行う活動となります。
ここが,プロフェッショナル(専門家)とアマチュア(素人)の違いになるのですが,そのあたりはまた次の機会で。