2014年3月22日(土)14:00から、今年度のまなびあい交流会を実施しました。
会場は中條文化振興財団の流麗席をお借りしました。
今年はいろんなイベントが重なったこともあり、出席者は7名とこぢんまりとした集まりになりましたが、かえってまったりと時間が過ぎていき、気がつけば予定の時間をオーバーするばかりでした。
1 「ことづくり」の研究内容について 多田俊二郎
2 ドイツの職人育成学校について 石川 義和
3 お茶の歴史とそこに込められた心 中條 晴之
4 小学校で取り組む「造形活動」 滝川 稔
5 小中連携から感じた美術教育の姿 熊田 知香
(※ここでのタイトルは内容を要約して短くしています)
紙面発表(※22日までにご提出頂いた報告書)
1 作家の意図と鑑賞者の価値の違いに触れた場面 新居 律子
2 子供たちと現代美術作品鑑賞での課題について 翠 さやか
3 MIMOCAの鑑賞教材と学校団体利用について 増田真理子
4 台湾の小学校(研修旅行)で感じたこと 川田 晃
(※掲載タイトルは一部内容を考えて付加、変更させて頂いています)
最初に私から、この会の趣旨を簡単に説明した後、大学院で研究した「ことづくり」についてです。
もっと「ことづくり」=「心を志向する活動」を自覚して、自らの活動を分析的に見ることの大切さや、図工美術が単なる作品作りにとどまらずに、生き方を志向したり社会性を養う活動に効果的であることを、事例を通して伝えさせて頂きました。
写真は石川さんのドイツの職業訓練学校や社会のシステムと日本との違いを報告して頂いているところです。
建築会社の代表という立場から、ドイツの職人育成の仕組みを見て、日本の職人社会が衰退し消滅の憂き目に遭っていることを危惧しておられます。
ちゃんとした訓練と、学校と社会との連携、そして職人が独り立ちできるしくみを構築しないと、日本の伝統的技能は失われてしまうとのお話は非常に切実な問題として感じました。
中條さんからは、これから発刊される「探訪讃岐の茶室」に関連して、お茶の歴史的な内容から伝統を守ることの大切さと難しさをお話し頂きました。戦後からお茶の世界に関わった人たちのほとんどが女性であり、高齢となった今、次の伝承者育成の面に関わるお話は、先の石川さんの内容と大いに重なる点があり、お茶室を造るにも、すでに職人がいなくなった分野もあるとのことでした。
滝川さんからは、小学校で実施されている創造活動についてのお話を頂きました。小学校は8教科ありますが、その教科と学年を超えた縦割りの授業を設けて、全部で21グループを編成し、それぞれが課題を解決していく活動に、自分の生き方やあり方を深化させていく授業のためのしかけづくりのために、地域の方との連携を大切にされていることなどのお話も頂きました。
熊田さんからは、中学校の教員として小学校の図工に関わり、そこでの図工と自らが実践してきた美術の違いに驚き、それをきっかけとして、どのように図工と美術をつないでいけば、子供たちの感性や教科性を大切に出来るかを、小中連携という仕組みの中で実践されているお話がありました。義務教育は芸術家を育てる教育ではないとの考えや、削減された美術教育への危機感、それぞれの発達段階に応じたイメージの作り方や表現のさせ方などに関わるお話は、とても共感を持って伺うことが出来ました。
予定ではここまでで4時半〜5時を考えていたのですが、気づけば午後7時前!
そこからみんなで大急ぎで鍋パーティの準備に取りかかりました。
中條さんの台所でばたばたやっている写真はありません。。。
材料は今回参加してくれた岡山大学の2年生である、川田さんと浮森さんに買い出しを手伝ってもらって、牡蠣鍋と鶏肉鍋ができるように揃えました。
それぞれで手分けして、7時半過ぎにはなんとか食事に。
このとき、川田さんから台湾の小学校の話を披露頂いたり、それぞれの雑談に興じていました。全てが参加者たちの手作りですから、本当にアットホームな雰囲気でした。
そして日も暮れ、最後は中條さんのお手前による夜拙(よばなし)のお茶席。
普通のお茶席は昼に行われますから、私たちにとってはめったに経験できない機会でした。お茶の作法や掛け軸、燭台の向き等々、全てに意味があり意図があり、それが来客をもてなすためにあるという「こと」に目が向いたとき、お茶の奥深さと共に面白さが見えてきました。至福の時間です。
もてなすという「こと」のために「もの」が用いられ、
「もの」を通して「こと」を表現する、
「もの・こと」の相互関係性を見事に体現しているのがよくわかりました。
足はしびれるのですが、参加者全てで7名。全員がいっぺんに入ってお話しできました。
ここでの緊張感と非日常がとても心地よく、なんだか終わりにするのがもったいなくて、つい、ずるずると時間が過ぎて、気がつけば9時半を過ぎてしまうほど。
お茶の準備や片付けの大変さを知っているだけに、今回このような特別な機会を設けて頂いた中條さんに、改めてこの場にて感謝申し上げます。
片付けを終え、学生さんを高松駅に送り届け、無事交流会は幕を閉じました。
なお、報告書はまだまだ受付中です。
また、報告書を閲覧希望のメンバーは事務局に保管しておりますので、ご連絡ください。
「まなびあい」は、美術をきっかけとした人のつながりの場所です。
自分が知らない世界の話を聞けるという楽しみを、ぜひいっしょに味わいませんか?
参加者募集中です!
興味のある方、ご連絡をお待ちしております!!