2012年1月22日(日)。
サンポートホール66会議室にて実施した「第三回まなびあい勉強会」。
講師には京都造形芸術大学教授福のり子先生をお招きして、「みる、考える、話す、聞く」と題した講演と、絵の見方(見せ方)の実技を行いました。
募集20名いっぱいで満員御礼。とってあった会場が定員30名だったので、いっぱいいっぱいな感じでした。
それでも熱意にあふれる参加者みなさんのまなざしは聞き漏らすまいと講師の先生を向き、広い会場で講師の先生との対話のない講演よりも、ずっと良い刺激が得られたのではないでしょうか。
最初はご講演。外国で子ども向けの鑑賞のしかたの書籍が出て喜んでいたが、中身は知識を知らないと答えられないものばかり。それを答えられたからと言って、本当に鑑賞をした、と言えるのか?という疑問点から始まりました。
音楽は音をたのしむという「受け手」を表した言葉に対して、美術は美の術(わざ)という「作り手」を表した言葉になっている所に改善の余地があり、もっと受け手としての社会人を教育するシステムが必要であるとのお話でした。
実際、鑑賞は「受け手」がするものですし、「作り手」のことばかりを考えた鑑賞は純粋に愉しんでいるとは言えないと思います。クラシックを聴く時に、この曲調と楽器の組み合わせは何を思って構成したのだろうと考えるところまでは良しとしても、曲を聴いているときにその曲の歴史的背景と作家の経歴を思い浮かべても、その曲を愉しんでいるとは言えないでしょうから。
キャッチボールの話では8年間で始めてという反応を示したI先生。ナイスです。
(講演だって予定通りに進まないのが刺激があっていいですよね)
絵を見て感じたことの例を示しながら。経験や年齢に応じて絵を見て感じ取るイメージが違うというお話をしているところです。
スライドの椅子のように見える角度はどこだろうと探しています。
後半は、実際に絵を見ながらどう見えるかという点でやりとりを進めて行くスタイルを実践しました。美術館でひとつの絵を見る時間は約10秒だとか。
それをこうやって1時間近く眺めるのは、教員や学芸員は別として、一般の参加者はほとんどないことではないでしょうか。いえ、教員や学芸員でも、授業に関係ないものや展示に関係ないものはやはり時間をかけていないでしょう。実際問題として、そんなに時間を費やす余裕がないのが現状なのですが。
先生や学芸員など、絵の鑑賞に携わる方には、もっともっと絵と向き合って「対話」できるように、業務時間として組み入れる配慮があるべきだと感じます。
後半に実技を取り入れたために、参加者からの質問時間が短くて、本当はもっと聞きたかったことがあった人もいたのではないかと思います。やはり20名ともなれば、なかなか全体の前で発言したり質問したりの敷居が高いかなあとも感じます。
でもふと思ったのです。
これはひょっとすると、絵の見方にもつながってくるのではないでしょうか。
それは、人前で恥をかきたくない、無知を悟られたくないという思いと、そう言った目で見ている人たちがいると感じること(自分の中にもそういった目で見る可能性があることも)が、鑑賞のしかたを制限しているとすれば、それは社会全体の在り方にも変化が必要だと言えるのではないでしょうか。
なるほどそうとらえるのか、とか、そういう捉え方も確かにありかな、とか。
「みんなちがってみんないい」なんて言っている側が、画一的にならないように気をつけるために、普段からできること。
そのためには「自分磨き」しかないでしょう。
そして手段として「美術を通した」活動を利用する。
講演をお聞きしながら、そんなことも考えた有意義な時間でした。
参加のみなさん、おつかれさまでした。
ぜひ、次回も「自分磨き」。そしてそれをこどもたちのために。よろしくお願いします。
余談:懇親会参加のみなさんもおつかれさまでした。
やはり顔と顔で行うコミュニケーションは、楽しいですね。どきどきワクワクがいっぱいでした。またお会いできることを愉しみにしています。
翌日は福先生とスタッフの渡川さんと、三人でちょっとした「さぬき巡り」。「つながって」いく愉しみです。事務局の醍醐味です。講演で伺えないような話がいっぱい。
うどん屋さんだけでなく、北浜や仏生山温泉にも。たのしい一日でした!