01 基本構造と概要

(5)へそ思考とは?

実はマルチタスク シンキング

AはBであるー この表現に違和感を感じる人はほとんどいないでしょう。なぜならそのように教わってきたからです。問いがあって解がある。当たり前のようですが,解だと思っている対象にも問いが生まれます。
 モノやコトには輪廻のように巡り巡って終わりがない様があり,そこではエラーも起きて変化が促進されるのですが,これらは想定外の扱いになります。自然の摂理を科学という領域で理解(決め打ち)しようとして,その答えを一つに絞ってきた弊害がここにあります。
 例えば「1たす1は?」の問いは数的には2なのでしょうが,あなたに帽子を足してもひとつのままですよね。数字すら前提次第で「解釈」が変わります。私たちはとても曖昧な世界で暮らしているのですが,そこに明確さを与えている(色づけている)のが解釈なのです。当然,それはかけ算だという説明も解釈のひとつですよね。
 へそ思考では,ひとつの対象を常に問いとして扱い,そこに6つの方向性(意味)を提示する仕組みをもっています。1本の思考経路を描くようなフローチャートに慣れている人は戸惑うかも知れませんが,まずはこの構造を理解していただくことが大切です。

 

 

(6)構造の説明

3つの円の重なりで表される

へそ思考の基本構造は単純で,3つの円と重なってできた3カ所の6つで表されます。この領域が私たちが暮らす曖昧な世界に明確な道しるべを設ける仕掛けです。
 拍子抜けする必要はありません。ここから生まれる解釈やその組み合わせを理解するのは結構厄介です。動物にふたつの性しかなくても,人間という呼び名で私たちをひとくくりにしても,その内容を探っていくと複雑で奥が深いですよね。
 また,対象が2つより3つのほうが重なりや組み合わせの幅が広がりますから,その意味でも可能性を増す構造になっています。

基本構造の前提

あらゆる知恵とは,人が見つけたり生み出したりした仕組みのことです。自然の仕組みは見つけ出しますし,社会の中で便利さなどを求めて生み出したルールです。
 あらゆる営みとは,今この瞬間を過ごす私たちの暮らしや人の歴史を超えた年数を経ることで生まれる変化など,活動過程という時間の流れで起こるドラマです。
 あらゆる想いとは,喜怒哀楽や願いなどのこころの様子で,わたしや周りに居る人,歴史上の記録に残っている人や小説のような想像上の人物などのマインドです。

 私たちが暮らす世界に満ちあふれる上記の3領域の呼び方を,上から「仕組み(ストラクチャ),出来事(イベント),こころ(ハート)」として,対象の頭文字をとってHESO思考と名付けました。
 ここまでで十分に理解されたと思いますが,難解な世界の理をへそ思考が正確に捉えているわけではありません。「解釈」のお手伝いをするための道具です。それを忘れないでください。

 

6つの方向性

「こころ」は自分がコントロール可能な,自我の支配下にある(そう感じている)領域です。当然,無意識はこころの外の領域です。
 例えば熱中してプラモデルを作っているとしましょう。本人は意識がなくても,外から見ればあなたはそこに居てプラモデルを作っています。無意識を学問に高めたユングやフロイトなどは,一連の出来事から類推できる仕組みや機能を丁寧に整理して述べているのは周知の通りです。

 人間がどんな英知を身につけても,ひとりの「個」であることからは逃れられません。私たちは,生まれ,育ち,年老いて死ぬという寿命をもち,人それぞれが解釈できるこころをもっています。これもまた大自然の仕組みが為しとげている技でしょう。
 私たち暮らす世界とは,まだ見ぬ仕組みも含めた中で起きる膨大な出来事の一端に,私たちがそれぞれの心の目を向けているだけと考えると,「なんだその程度のことか」と思えませんか。へそ思考は「その程度のこと」を簡単に図式化しただけなのです。


 
 

 
 

 
 


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