~ゆるぎたるぎ日和~ (一財)さぬき生活文化振興財団

 
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設立者より

FROM THE FOUNDER

ゆるぎたるぎ日和

あなたはここに居る
それだけで充分に素晴らしい

自己流の「ひと手間」を味わう暮らしかた

~ さぬき・生活文化振興・財団 ~  生活と文化(Life & Calture:暮らしとアート)には,ひと手間を味わう共通点があります。「ひと手間(HITOTEMA)」とは,想いやアイデアが価値になる過程を楽しんだり,だれかと楽しみ合えたりする活動のことです。そして,その振興に向かう必要最低限の共通認識として,「3つのお約束」が生まれました。

 暮らしの中にある,自己流の「表現」や「鑑賞」などの方法は様々で,そこでは日常や非日常を問わず,知識や技術のレベルも問われず,心地よい時間を過ごすために行います。

 利用者のご要望に寄り添いながら,ニーズに合わせた活動プログラムを「ともに」つくることから始めるための複合施設がことラボです。また,上記のような活動を他者に提供する個人やグループを助成金交付事業で応援します。

 

3つのお約束

THREE PROMISES

自由に始める

ひらめきに寄り添う

人生は選択の連続と言われますが,その選択を愉しめると驚きや感動にたくさん出会えます。四角四面に考えず,自分のひらめきに寄り添って,あなたのニーズやスキル,ペースに合わせた心地よい時間を過ごしてみましょう。
 


過程を味わう

可能性を引き出す

私たちは曖昧さが満ちた世界の中で,揺れ動くこころと共に暮らしています。自己流の「答え」には不安も湧きますが,可能性を引き出す自由な解釈に身を任せつつ無理しすぎない(ゆるぎたるぎな)姿勢で愉しみましょう。
 


心地よく

「おなじ」を探して

持続可能性や多様性などの維持に欠かせない「しかけ」とは,共通了解へのまなざしです。価値観が違っても穏やかに暮らしたいのはみんな一緒,のように共立的で最小公倍数的な「おなじ」を探してみましょう。
 


設立への想い

設立:2011.6.8

遊びは学び 〜生活と文化を緩やかにつなぐ〜

 


生活と文化は、日々の暮らしかたという土台で密接につながっています。人々の生活習慣が生み出すモノやコトから文化的な枠組みが生まれ,常に変化を伴いながら時代に合ったかたちが現れたり消えたりしています。

 当財団は美術教育のエッセンスを用いた企画活動や勉強会から始まり,美術展覧会への協力や若手作家の支援等も行ってきました。文化を楽しむ行為は知識や技術に秀でた人の特権ではなく,全ての人が心の豊かさを享受できる暮らしかたのひとつです。一時期は日々の生活で消費や効率を重視する風潮が後押しして,文化的価値が生活とは無縁の要素や蓄財の道具と考える風潮がありましたが,最近では昭和時代に見られた硬直的なヒエラルキーも和らぎ,立場や技能に関係なく自分たちのスタイルで文化的な要素を溶け込ませた暮らしかたを愉しむ人々も増えてきました。

 芸術鑑賞の際には多くの知識や技術があれば楽しみかたに幅が広がります。ですが,そもそも感じるとは人それぞれの想いですからその領域のスキル獲得が必須ではありません。幼い子どもでも自らの生活経験を活かして遊び感覚で自在に作品の中に入り込み,心豊かに感じ取るコトは充分に可能なのです。

 遊びは学び。これは全ての世代に共通する姿勢です。ここに「コト」の魅力や味わいの深遠さがあります。当財団では美術教育領域で培った知見を基に,ニーズへ寄り添いスキルにこだわらない事業を展開しております。また,インターネット関連の,スマートフォンやソーシャルネットワーキングサービスも生活に密着した文化の1領域であり,目に見えないモノやコトの集合体でもあります。その状況も踏まえて,当財団ではモノを構造(フレーム),コトを反応(リアクション)と定義しました。

 このようなモノやコト,文化や生活を分けて考える必要がないとの意見も一部にはあります。しかしながら,一層の技術進歩と共に多様性や流動性や不確実性が増すと予想されるこれからの社会においては,大切にしたい暮らしかたをコトの視点から積極的につくり出し(セルフビルドし)つつ,社会全体がそれらの価値を共存させ得るゆるぎたるぎな様子が備わった文化の構築を必要としており,当財団ではその啓発のために人それぞれの「こころのありよう」を大切にする【ことづくり生活】を提案します。

〜会員制での運営〜

 


事業のひとつに,財団が管理する施設を活用していただく「ゆかいスタイル」があります。会員制を採用し,「ゆるぎたるぎ」な暮らしかたの中でお互いが安心して活動・交流できるような場を準備しています。ここでは一般的なご家庭や友人の集まりなどの,少人数での利用や普通乗用車一台でのご利用が基本です。

 まずは本会運営の趣旨をご理解頂くところから始まります。

・生活スタイルを試行し志向する姿勢を愉しむ
・文化活動に積極的に参加して自己研鑽を図る
・余暇を楽しみ,明日への活力を手に入れる
・自然に親しみ,持続可能な暮らしを意識する
・家族や友人と過ごす時間を充実させる
・新たな文化を発信できる若い世代を育成する
・ゆるやかにつながり続ける仲間の輪を広げる

 設立以来,上記の趣旨を踏まえて効率や効果優先からは少し距離を置き,人それぞれのスキルやペースで充実感を味わえる生涯学習的・伴走支援的な活動を行っています。また,手芸教室や料理教室などを数名で開催する場合,ご自分の興味や特技を活かして参加者と「自分時間」を愉しむ活動などもお手伝いしますので、お気軽にお問い合わせください。

決めつけない・可能性を活かす

 


私たちはどのように暮らしても「世界」を消費します。素材のもつポテンシャルを最大限に引き出しても無駄が出ても,モノ消費でもコト消費であっても,おそらくは目指す方向が違うだけでどちらも間違いではありません。ところが比較によって価値の望ましさを問われると,人はどうしても基準値を定めて優劣で選択しがちです。

 自分と異なる立場や可能性までを二項対立や同調圧力などでひとつの「ただしさ」に集約する必要はありません。なぜなら、幾重にも連なり枝分かれしている「こと(様子)」を見つめ,人それぞれに沸き上がるアイデアと行動力を活かしつつ共存・共立を目指した持続可能な生活・文化づくりとその振興が,多様な価値を認め合うこれからの社会に求められると考えるからです。その多様性(ダイバーシティ)や包括性(インクルーシブ)の醸成には,答えのない不確定な中から自分なりの価値観で分析・判断する哲学的な思考が必須です。これを簡便に行うためのへそ思考も考案しました。

 対立意見に対しては,自らの内と外にある価値を重ね合わせながらじっくり時間をかけて「あいだ」を探る姿勢が不可欠ですが,何事も素早く白黒はっきりさせたい人から見れば判断を先延ばしにして時間を無駄にしていると捉えられがちです。それでも,他者の意図に振り回されたくない人や効率の追求や選択と集中の繰り返しなどでこころが疲弊している人にとっては,安心して自分を見つめ直す時間やその想いを試行錯誤しながら実践する場が必要です。身近なところで優しい温かさに包み込まれる実感を得られ,趣味や立場や価値観などが異なってもゆるやかにつながり続けるコミュニティという,いかなる時でも持続可能性に展望をもてる社会システムも欠かせません。

 異質といって排除せず,かといって全てを受け入れるわけでもなく,人それぞれの価値観や考えかたを受け止め尊重しつつ,共立に向けた「あいだ」探しや日々の暮らしに手間をかけて丁寧に愉しむ実践のかたちを,日本で最も小さな香川県(讃岐)から「ゆるぎたるぎ」に発信し続ける所存です。どうぞよろしくお願いします。

財団設立者・代表理事 多田俊二郎
岡山大学大学院教育学研究科修了(美術教育学)
元香川大学教育学部特命准教授
哲学的思考研究家・ことづくり生活研究会主宰